講座015

船舶免許の特定操縦免許制度と令和6年4月1日改正について

悲惨な事故を防ぐための制度厳格化
特定操縦免許のコラム

特定操縦免許制度とは

船舶免許特定操縦免許の見本

特定操縦免許は、旅客船(屋形船・遊覧船 等)や遊漁船(つり船 等)等、お仕事としてお客様を運送する小型船舶の船長さんに必要なプロの船舶免許資格です。

自動車運転免許の二種免許と同じように、資格の中にさらに資格があるようなイメージです。1級、2級の船舶免許保有者の方で特定操縦免許講習を受講し試験に合格することで、今まであった旅客船・遊漁船の船長になることの制限が解除されます。水上オートバイ(特殊小型船舶)がこの制度の対象にならないのは、水上オートバイ自体が小型で定員が少ないため、旅客船や遊漁船としての使用が想定されていないためです。

マリンレジャーでお友達等を乗せる小型船舶の船長の場合は、この特定操縦免許は必要ありません。また、特定操縦免許の「特定」と特殊小型船舶の「特殊」という言葉がとても似ていますが、混同されないようご注意ください。

特定操縦免許制度の改正概要

特定操縦免許制度ですが、2024年(令和6年)4月1日から改正されました。厳格化といえる内容となります。

改正の背景としては、2022年(令和4年)4月23日に発生した知床遊覧船沈没事故の再発防止策のひとつと言われています。上記の通り、旅客船や遊漁船の船長になることがある方以外は、改正の影響はありませんのでご安心ください。

今回の改正のポイントは下記の通りです。

(1)小型旅客安全講習から特定操縦免許講習に変わる。
(2)履歴限定制度の導入。
(3)施行日以前の特定操縦免許保有者の経過措置。

(1)小型旅客安全講習から特定操縦免許講習に変わる

いままで特定操縦免許を取得するために必要だった「小型旅客安全講習」が、2024年4月1日以降、「特定操縦免許講習」に生まれ変わりました。

講習時間は合計15時間(小型旅客安全講習の内容7時間+学科4時間+実技4時間)と増加することになり、科目毎に修了試験が定められ不合格の場合は合格基準に達するまで、補講・再試験が行われます。遊覧船事故を踏まえ内容をより強化することで船長の最低限の能力を押し上げることが目的と言えるでしょう。

(2)履歴限定制度の導入

一定の乗船履歴がない場合、小型旅客船・遊漁船に船長として乗船できる航行区域が平水区域に限定される制度です。履歴限定は後から解除することも可能です。限定解除すると上記船舶免許イラストの①のような表示となります。

また、履歴限定が付された船舶免許証は、【特定限】と表示されることになりました。限定があると上記船舶免許イラストの②のような表示となります。この履歴限定制度の導入により、船長としての経験が少ない方が大きな事故につながる可能性が増加する水域に船長として乗船できなくなります。

この限定を解除する方法については、下記の国土交通省のページをご確認ください。

(3)施行日以前の特定操縦免許保有者の経過措置

新しい制度が導入されることにより、既存の特定操縦免許を保有されている方へはどのような影響があるでしょうか?

特定操縦免許講習を受けるべきかの判断

特定操縦免許講習を受け新しい特定操縦免許を受有するべきかは、実際に小型旅客船・遊漁船に船長として乗船している又はする予定がある方のみすべきです。

特に令和6年3月31日までの旧特定操縦免許制度において、平成15年6月以前に小型船舶操縦士免許を取得された方は原則として自動的に特定操縦免許が付与されており(一部の級は除く)、実際には小型旅客船・遊漁船の船長として乗船されていないにもかかわらず特定操縦免許を保有されている方がかなりの人数いらっしゃいます。 こういった方で、小型旅客船・遊漁船に船長として乗船されない方や予定がない方は、高額で長時間の講習を受けるメリットがないため、新特定操縦免許に移行しないで移行期間満了と同時に特定操縦免許の効力が失われるのを待つので問題有りません。もちろん元々の1級、2級、特殊の船舶免許効力は失われません。

特定操縦免許講習を受けない場合

2024年3月31日までに旧制度の特定操縦免許を保有されていた方は、経過措置として2026年3月31日までは特別な手続きをすることなく、引き続き小型旅客船・遊漁船に船長として乗船可能です。この期間を経過措置期間といいます。

この期間中に、更新や再交付等で船舶免許証の交付を受けると、いままで灰色だった【特定】という表示が赤色の【特定】となります。上記船舶免許イラストの③のような表示となります。また、2026年4月1日に以降に更新や再交付等で船舶免許証の交付を受けると【特定】の文字が消えます。ただし、旧制度の特定操縦免許を保有していたことを示すため背景色は赤の表示[上記船舶免許イラストの④参照]となります。これにより、事後的に特定操縦免許が必要となり特定操縦免許講習をうけようとしたとき旧制度の7時間分が免除になるか判断できる仕組みになっています。

特定操縦免許講習を受ける場合

15時間程度の特定操縦免許講習(ただし旧特定操縦免許を保有していれば7時間は免許)を受講し、新制度への切替申請を運輸局に対して申請する必要があります。また、新しい特定操縦免許に切り替えた場合、経過措置期間中でも履歴限定制度の対象となるのでご注意ください。また、小型旅客船・遊漁船の船長として3ヶ月以上の乗船履歴がある場合、実技講習も免除となります。

【参考】
国土交通省
https://www.mlit.go.jp/maritime/maritime_mn10_000004.html