講座005

汽艇等とは

汽艇等の定義とルール
汽艇等とは

汽艇等の概要


港内における船舶交通の安全及び港内の整とんを図ることを目的とした法律「港則法」が改正され、改正港則法が平成28年11月1日に施行されました。

改正前までは「雑種船」という用語だったものが、今回の改正で「汽艇等(きていとう)」という用語に改められました。

汽艇等の定義

まず、汽艇等とは
汽艇(総トン数20トン未満の汽船をいう。)、はしけ*1及び端舟*2その他ろかい*3のみをもって運転し、又は主としてろかいをもって運転する船舶」と定義されています。

*1はしけ…トレーラーでいう荷台部分のような船。多くは推進器を持たず、タグボート等に曳航されながら航行する。
*2端舟…機関や帆などの推進力を持たない舟。イメージで考えると一寸法師のお椀。
*3ろかい…「櫓(ろ)」と「櫂(かい)」。舟を漕ぐためのオールのようなもの。イメージで例えると一寸法師のお箸。

参照:東京はしけ運送事業協同組合HP、潮来市HP

今回の改正にともない「雑種船」から「汽艇等」になったことによってその定義が明確化されました。

どのように明確化されたのかはそれぞれの基準を比較すれば一目瞭然です。



雑種船:その船舶の活動範囲が主として港内であれば雑種船、それ以外は雑種船以外。

汽艇等:総トン数が20トン未満の船舶だと汽艇等、それ以外は汽艇等以外。


総トン数20トン未満の汽船というのは小型船舶の定義とほぼ合致しており、小型船舶の大半は汽艇等ということができます。
ただし、小型船舶安全規則による小型船舶の定義は下記の通りとなっております。

「総トン数20トン未満のもの」
「総トン数20トン以上のものであつて、スポーツ又はレクリエーションの用のみに供するものとして告示で定める要件に適合する船体長さ(船体の強度、水密性又は防火性に影響を及ぼすことなく取り外しできる設備を取り外した場合における船体の前端から後端までの水平距離をいう。)が24メートル未満のもの」

上記の2つ目の定義は大型のレジャー用クルーザー等が該当します。
港則法の定める「総トン数20トン未満の汽船」とは合致しないことから、必ずしも小型船舶=汽艇等ではないことが明らかであるため下記の汽艇等に適用されるルールについては、小型船舶の船長は自船が汽艇等なのか否かを認識していただくことが重要となります。

なお、水上オートバイは「汽艇等」に含まれます。

新たに汽艇等に適用されるルール


・構内での汽艇等以外を避航する義務(港則法第18条)
※狭い構内では運動性能が高く小回りの効く汽艇等が汽艇等以外を避けてあげましょうという趣旨です。

新たに汽艇等以外に適用されるルール

・港に出入りする際の航路航行義務(港則法第12条)
・移動の制限(港則法第7条)
・修繕、係船届の届出義務(港則法第8条)

繰り返しになりますが、港則法の汽艇等と、小型船舶安全規則による小型船舶の定義はほとんど同じといえますが、異なる場合もあるため港則法が定める港の区域においては同じ小型船舶でも上記の汽艇等か汽艇等以外かで航法が変わってきます。
港則法で定める港の区域を航行するときは必ず、汽艇等か否かを認識して船長業務を行って下さい。